魔法が使えないから

魔法が使えなくても、君に会ってただ話をしたい

ライオンを脱ぎ捨てた男

”デビュー当時、重岡はライオンを被っていた”

メンバーがよく彼について口にする言葉。言い得て妙だな、と思う。

猫ではなくて、大きくて、強いライオン。言い換えてみると、重岡くんにとってそのライオンは自分の身を守る鎧のようなものだったのかもしれないなって。

それとは対照に、今の重岡くんには、ありのまま、自然体、そういう言葉が似合う。

 

彼がライオンを脱ぎ捨てた瞬間がいつなのか、はっきりとわかるわけではないけれど、私が見てきた六年半の中に、変わっていく重岡くんがいたのだと思う。

 

 

はっきりと変化を感じたのは、「間違っちゃいない」の制作秘話を各所で重岡くんがポツリポツリと語ってくれたあの冬だったかな。あの時、初めて重岡くんの”弱さ”に触れた気がした。

アルバムに収録するユニット曲についてメンバーとスタッフさんで協議を重ねていた時、重岡くんは自作の曲を持参して、その曲をやりたいと提案したんだけど、前年のアルバムのユニット曲と雰囲気がかぶるから、という理由でスタッフさんをはじめ、メンバーからも反対されてしまって。アルバムをよりよくするための意見とはわかっていながらも、自分の用意した曲に情熱をもって会議に臨んでいた重岡くんはかなりショックを受けてしまって、そのまま会議は進み、神ちゃんと濵ちゃんと三人で楽器を使ったパフォーマンスをすることに落ち着いた。新しく曲を作り直すことになった重岡くんは、楽屋でもあまりメンバーと話せず、精神的に孤立してしまった状態でひたすら曲を書いては消して、書いては消して、ってしてた。そんな重岡くんの姿を見てたメンバーはみんなすごく心配して。重岡くんに電話をかけた濵ちゃんの

 

「しげはなんも悪くないよ。なんも間違ってない。」

 

その言葉がきっかけでできたのが「間違っちゃいない」。

それまでの重岡くんは、私たちファンに対してはいつもあっけらかんとして、「悩むこととか、あんまりないなぁ」って、そんな感じだったし、演技以外で重岡くんの涙だったり、暗い表情、憂鬱な気持ち、そういうものをみたことがなかった。そんな重岡くんに対して強い信頼を抱いてもいたんだけれど、この曲ができた経緯について重岡くんが自分の言葉で話してくれた時、なぜかすごくほっとしたのを覚えてる。

それから、あの言葉。

 

「七人でやりたいよ。でも俺が言ってもどうせ空回りしてんねん。また重岡が言ってるわって思われる」

 

寂しそうに、ポツリポツリとそう話してくれた重岡くんの声が切なくて、胸がギュッと締め付けられた。「間違っちゃいない」を、今度は七人でやりたい。でも、重岡くんの心にはあの時感じたことがきっと残っていて。だから躊躇って、ほんの少し投げやりになって。大好きで大切なメンバーと一緒にいたって、孤独を感じてしまうことが、彼にはある。一人じゃないけど、「独りだ」って感じることが彼にはある。

あの言葉は、それまで私たちに、楽しかったこと、嬉しかったことばかりを溌溂と話してくれていた彼からは想像もつかないものだった。心のどこかで、嫌なことなんてはねつけて、めげずに前進していくのが重岡大毅という人間だと、勝手に決めつけてしまっていたのかもしれない。だから、彼の人間臭さを垣間見た、その衝撃と苦しさは今でも忘れられなくて。でも同時に、そんな重岡くんの弱さを彼が私たちにさらけ出してくれたことにも、どこかほっとしてた。もしかしたら、ほんの少しでも私たちが彼の心の拠り所になれているのかもしれない。つらかったこと、苦しかったことを吐露する場所を、私たちが作ってあげられているのかもしれない。自己満足かもしれないけれど、そう思えたから。

 

それから、WESTV!のオーラス公演前のあのシーン。

重岡くんが演技以外で涙を流すのを見たのは、あの映像が初めてだったかも。

 

「楽しかったんすよ、ほんまに。ありがとう。ほんまに良いチームに恵まれたと思ってます。ありがとう。」

 

涙をポロポロと流しながら、何度もありがとう、ありがとうと繰り返す姿に、涙が止まらなくなった。間違ってないよ、一人じゃないよって言ってくれたメンバーに、何も言わずそっと見守ってくれていたメンバーに支えられて、「間違っちゃいない」を完成させて、ライブで披露して。最後の公演を前にした重岡くんの心に、もうわだかまりはなくなったのかもしれない、そう思ってすごく嬉しかった。

 

 

THE・アイドル。そんな風に言われていた彼がかぶっていたライオンはきっと、アイドルは夢を与える仕事だという誇り。いつでもかっこよくいること、ファンに笑顔や幸せを届けるという使命。

「僕、ジャニーズに入るまでの生き方、汚点なんですよね。周囲に流されて、夢も目標もなく、本当の仲間と高めあう喜びも知らず、一生懸命になることもカッコ悪いと思ってた。頑張れば誰かを笑顔にすることができることも知らなかった。」

重岡くんがジャニーズに入って学んだことは、人生のすべてだった。だからアイドルという仕事に並々ならぬ誇りと覚悟を持っていた。

 

でも、彼が出会って、触れ合ったたくさんの人たちによって、重岡くんの中に新しい価値観が芽生えたんじゃないかなって。

ジャニーズの先輩方、ドラマや映画で共演した俳優さん方、そしていつも精力的にジャニーズWESTを支えてくれる番組スタッフさんやツアースタッフさん。

「カッコつけんなよ」

デビュー1年目の重岡くんにそう言葉をかけてくれた、大好きであこがれの先輩である錦戸亮くんや、

「この番組に戻ってこないように、もっともっと頑張れ」

そんな風にWESTの背中を押してくれたリトルトーキョーライフのスタッフさん。

 

カッコつけない、ありのままの自分をさらけ出すことで、誰かに勇気を与えることもできる。綺麗な部分だけじゃなくて、時には弱いところも、情けないところも、カッコ悪いところだって全部見せること、そしてそれを乗り越える姿まで全部見せること。その姿の中に、何か感じてもらえるものが必ずある。

今の重岡くんには、そういう新しい覚悟が見えるから。

 

 

”消えたくなった夜も 逃げたくなった朝も

 まあまあカッコいいんじゃない”

”頑張れなくていい 嫌になったっていい

 情けなくていい ダサくていい

 怖くなってもいい どんな自分だっていい”

”どうしようもないくらい どうしようの繰り返し”

”僕は僕で僕なんだ”

”間違っちゃいないんだ”

 

 

彼の心の叫びが歌になって、今やファンからも、メンバーからも愛される存在になった。彼の作る曲を心待ちにしている人たちがいる。彼の生き様に力をもらっている人がきっと今この瞬間にもどこかにいる。

 

彼の才能は、愛される力。まっすぐで、誠実なその姿が人を惹きつけ、思わず世話を焼きたくなっちゃう、そんな風に思わせる。

彼の強さは、弱さを認められること。自分の弱さに気づき、それを認めて、乗り越え、強さに変えることができる。

彼の生き方は、変革を続けること。良いものを躊躇せず取り入れることができる。それでいて根っこにある信条は失わない。そうやって常により良いほうへと変わり続けることができる。

そして彼の財産は、仲間。時には何も言わず、そっと遠くから見守っていてくれる。時には彼に力強い言葉をかけてくれる。”大丈夫、しげならできる”って、いつでも暖かく、彼を包んであげられる。光を失いかけた太陽にもう一度陽を灯すことができるのはきっと彼らしかいないから。

 

「メンバーそれぞれが離れた場所にいても、7人でいられる幸せを感じてたって俺は確信してて。それって最高じゃない?その気持ちを言葉にして伝えるかどうかは、それほど意味がない気がして。そんな次元の絆じゃないから。」

「楽屋でおもろいことしてる時。番組でみんなで爆笑とった時。家でテレビを見てて、誰かが笑いとってる時も。ライブで目の前の子が笑顔になったときも思う。"俺たち7人どうや!"って。本当に、ずっとずっと7人、仲良くいたい。あ、でも、毎日思うのは"7人でよかった"ってことじゃないですね。

いつも感じるのは、"この7人最高やな!!"ってことです」

 

どうかこれからも重岡くんの周りに、笑顔と光が満ち溢れますように。

 

 

重岡くんへ

28歳の誕生日おめでとう。

私にとって重岡くんは太陽みたいな人。周りをあたたかく照らすことができる人。時には熱いくらいギラギラ照らしているときもある気がするけど、それすら愛おしくて。

でも、毎日自分を燃やして周りを照らし続けるのはつらくないかなって、たまに思ってしまうんだ。

重岡くんは底抜けに明るい人に思われるけど、本当はそんなことない。自分でもそう言ってたよね。「明るくて元気な子」そう思われているのがたまにプレッシャーになるって。辛い時も、苦しい時もきっと沢山あるよね。

 

でもね、重岡くんは、一人じゃない。だからつらい時は抱え込まずに、誰かに頼ってください。

誰よりも近くで重岡くんのことを見てきた神ちゃんが、気の置けない、何でも忖度なく話せる同期の流星くんが、誰よりも重岡くんのファンでいてくれている小瀧さんが、何度ぶつかっていっても必ず受け止めてくれる淳太くんが、重岡くんの強みも弱みも全部わかってくれている照史くんが、誰よりも優しく、重岡くんの心の機微に気づいてくれる濵ちゃんがそばにいる。

そして私たちファンも、なにがあっても重岡くんの味方です。

 

だから今日は、重岡くんが私たちに届けてくれたあの言葉を私からプレゼントしたいな。

 

今この瞬間を大切に生きている人。

誰よりも繊細で傷つきやすい人。

だからこそ、弱い人の気持ちに誰よりも寄り添える人。

頑張る人のことを絶対に笑わない人。

誰かを救うために、身を粉にして頑張り続けることができる人。

 

いつも本当にありがとう。心の底から、大好きです。

2020.8.26  私より

 

 

”君は君のために生きるんだ

 僕は君の陽だまりになる”

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